
ドライフライフィッシングを楽しむためには、ロッドはもちろん、適切な道具選びが不可欠です。
中でもフライライン、リーダー、ティペットは、フライフィッシングの根幹を成す重要なアイテムであり、時にはその選択が釣果を大きく左右します。
この記事では、渓流のドライフライフィッシングに最適なフライライン、リーダー、ティペットの選び方について、初心者にも分かりやすく解説します。
それぞれの役割や種類、選び方のポイントを丁寧に解説していきますので、この記事を参考に最適なアイテムを揃え、忘れられない一匹と出会えるようサポートしたいと思います。
それでは始めます。


フライライン
フライラインとは
フライラインとは、獣毛で作られた非常に軽い毛鉤(フライ)を遠くまで運ぶための糸(ライン)の事です。
コアと呼ばれる芯をPVC(ポリ塩化ビニル)などでコーティングしてあるラインで、太くて重量があり、ジギングなどの通常釣りで使われるラインとは全く違った構造で出来ています。
キャスティングのパワーをフライラインがリーダーやティペット、フライに伝達する役割を担っていて、これが無ければ釣りにならない非常に大事な役割があります。
通常は魚に気づかれないよう透明なラインや細いラインを使いますが、フライラインの場合はラインの先にテーパーリーダーやティペットというものを付けて釣りをしますので、フライラインに色が付いていても魚を釣るうえでは全く問題が無いと言えます。
むしろその色が付いているおかげで、フライラインが自然に流れているか、また流れに引っ張られていないかなどを確認するのに役立っていると言えます。
イエロー、オレンジ、アイボリー、ブルー系、グレー系など様々ありますので、自分の好みやリールに巻いたときの見た目など、各自好きな色を選んで下さい。

太 さ
渓流のドライフライフィッシングの場合、「フライフィッシングを始めたいけど何を揃えればいいの?その費用は?」でもお伝えしたように、3番(#3)を基本としておすすめしています。
しかし、風に強い#4のロッドを揃えるのであれば#4のフライラインを揃えるように、フライロッドの番手に合わせてフライラインを揃える事になります。
フローティングとシンキング
フライラインには、フローティングラインとシンキングラインという大きく分けて2種類のフライラインがあります。
フローティング
その名の通り、水面に浮くことが最大の特徴のラインで、ドライフライフィッシングではこのフローティングラインが使われます。
ラインが浮くことにより、水面をフライが漂うように自然に流すことが可能になり、渓流魚が釣れる確率も上がります。

シンキング
シンキングラインとは、水中に沈むラインの事です。
ラインの先端だけが沈むものや全体が沈むもの、沈む速度が違うものなど、様々な種類がありますが、魚のいる層にフライを送り込むためにそれらを使い分けながら釣りを行います。
主にウエットやストリーマーフィッシングに使われるラインになります。

フライラインの種類
DT(ダブルテーパー)
ダブルテーパーライン(以下DTライン)とは、ラインの前後両端部に向かってテーパーが付いていているラインになります。
日本の渓流釣りでは最も一般的に使われている形状のラインで、初心者の方が渓流のドライフライフィッシングを始める場合におすすめな形状のフライラインです。
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渓流の中~近距離での使用に向いていていて、繊細なプレゼンテーションに適しており、メンディング(ラインを操作してフライを自然に流す技術)などの様々なテクニックに対応できます。
一般的な日本の渓流で行うドライフライフィッシングには、最も適したラインと言えますが、同じDTラインでも、テーパーが急になっているものや、緩くなっているものがあり、添えぞれに特徴があります。
テーパーが急なものは、ターンする力が大きく、大きなフライや向かい風の時に有利で、テーパーが緩いものは、ターンする力が弱いですが、デリケートな釣りに向いています。
また、両端部が同じ形状となっていますので、片方が劣化してきた場合はラインの前後を入れ替えて使用できるというメリットもあり、ランニングコストを抑えることが出来ます。

WF(ウエイトフォワード)
ウエイトフォワードライン(以下WFライン)とは、簡単に説明すると片方の先端部分が太くなっているラインで、反対側は細いランニングラインと呼ばれる部分になっているラインです。
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ラインの先端側に重量が片寄っていて、重量による遠心力の強さを利用して、毛鉤を遠くへ運ぶことを得意とするラインです。
ラインの重さを感じやすく、比較的容易に遠くへキャストできますが、日本の渓流のように複雑な流れの場所では、ラインが流れに引っ張られて自然にフライを流すことが困難なため、遠投で狙う事はほとんどありません。
どちらかと言うと、流れがフラットな大場所で、遠投してライズしている魚を狙う場合やウエットフライ、それと湖や大きな川の中下流域でサクラマスなどの大型魚を狙う場合に使われるラインです。
近年はダブルWFラインと言う、前後両端部にWFテーパーが付されているラインが発売されており、前後を入れ替えてランニングコスト抑えることが出来るラインもあります。

バッキングライン
渓流のドライフライフィッシングで使用するバッキングラインの役目とは、海釣りなどで使用するリールの下巻の役割をするラインの事です。
リールの糸巻量を調節するものであり直接釣りに影響を与えることは無いため、自分の好きな色のバッキングラインを選択して構いません。

フライラインの手入れ
釣り場や釣りから帰ってきたら、最低でも柔らかい布などで拭いてフライラインの汚れは落とすようにしてください。
出来れば専用のフライラインクリーナーなどを使用して、フライラインの浮力低下や劣化を防ぐように手入れする事で、ラインを長持ちさせることが出来ます。
専用のものとしてはTIEMCOのフライラインドレッシングやリバイタライザーというものがあり、よぼ爺もそれらを使用しています。

おすすめのDTライン
TIEMCO(SA):スープラ Jストリーム DTT
最新のライン製造技術ドライティップテクノロジー(DTT)を搭載したティムコ特注渓流用ラインです。
日本の渓流での実釣域である近距離から中距離で扱いやすくなるように、通常のラインより若干フロント側が重く設計されていて、それでいて繊細なプレゼンテーションがスムーズに行えるのも特徴です。
日本の中流域のフラットウォーターから山岳渓流、源流までストレスなく使える日本の渓流ラインの定番アイテムです。
TIEMCO(SA):スープラ ロングドリフトライン (LDL)

テーパードリーダー
テーパードリーダーとは
テーパードリーダーとは、フライラインとティペットの間につなぐ、先端が細くなるように設計された糸のことで、フライフィッシング専用のリーダーの事を言います。
フライラインの運動エネルギーを効率的にフライに伝え、フライをスムーズにターンオーバーさせる役割があり、これによりフライが正確にポイントに届き、魚に自然な形でアピールできます。
渓流で使用する材質としてはナイロンが主流で、硬いものや柔らかいもの、またテーパーの形状も様々なものがあります。

リーダーの硬さ
柔らかいものは、複雑な流れにも馴染みやすく、自然にフライを流すことが得意ですが、その柔らかさゆえにキャストしにくく、特に夏場は扱いにくい場合があります。
硬いものは、キャストの際のターンする力が強く、風が強い時や大型のフライをキャストするのが得意ですが、複雑な流れに馴染まない場合があります。
使うフライの大きさとのバランスを考えて選ぶ事になります。

太 さ
テーパードリーダーの太さは「X」で表され、数字が小さいほど太く、大きいほど細くなります。
渓流で使用する太さとしては5X~6Xが一般的だと思いますし、使っている方も多いのではないでしょうか。

長 さ
テーパードリーダーには様々な長さのものがありますが、始めのうちは9ft、長くてもせいぜい12ftくらいにしたほうが良いと思います。
15ftなどの長いリーダーはドラグを回避するためには有利に働きますが、慣れないと上手くキャスティング出来ず、フライをターンさせることが難しくなります。
また、長いリーダーは慣れないとトラブルの原因になり、かえってストレスになりますので、キャスティングが自分の思い通りになるまでは、長いリーダーを使用するのはお勧めしません。

ラインとリーダーの接続
フライラインとテーパードリーダーの接続には、接続部のこぶが比較的小さいネイルノットやネイルレスネイルノットなどで接続して使用しています。
実際の接続の仕方はYouTubeなどにたくさん載っていますので、それらを参考にして下さい。
参考までに、ネイルノットを簡単に行える シマザキ リーダースプライサー というものがTIEMCOから発売されていますので、それを使うと奇麗に結ぶことが出来ます。
慣れてくると家にある細い縫い針を使用しても出来るようになってきますが、最初はスプライサーを使用したほうが奇麗に結べますし楽だと思います。

おすすめのリーダー
TIEMCO:スタンダードリーダー
リーダーに求められるしなやかさ、結節強度、耐吸水性、直線強度などが高バランスで実現され実戦から生まれたリーダーです。

TIEMCO:Jストリームリーダー
やや硬めのナイロン素材を採用することで投射性、コントロール性、耐久性に優れ、さらにはフロロカーボンティペットとの相性も良いリーダーとなりました。
バット部を細めに設定することでドリフト性能が向上、複雑な流れも克服できます。

ティペット
ティペットとは、テーパーのない細い糸の事で、テーパーリーダーの先端部分に結んで使用するものです。
テーパーリーダーの先端部はテーパーが無い細い糸になっていますが、それだけではドラグを回避するには短いので、そこにティペットを足して使用するための糸です。

太 さ
ティペットの太さはテーパーリーダーと同じく「X」で表され、よぼ爺の場合は渓流では6Xを標準に5X~7Xを使い分けていて、5X→6X→7Xなどと徐々に細くしていきながら使用しています。
7Xの細いティペットは、鏡のような水面でライズしている魚や、プレッシャーが多くてスレた魚を狙う時に使用しています。

素 材
ティペットの材質はナイロンが主流ですが、7Xや8Xなどの細いティペットを使う場合は、フロロカーボン性のティペットが丈夫でお勧めです。
フロロは硬いし沈みやすいと言われますが、7Xなどの細いティペットの場合は硬さは気になりませんし、リーダーグリースなどを塗ることによって沈みにくくなりますので、特に問題は感じません。

おすすめのティペット
TIEMCO:ミスティープラスティペット
ティペットに要求される粘りの部分を進化させ、その結果、結節強度、耐摩耗性、引っ張り強度などの性能も上がりバランスの良いティペットとなっています。
従来に比べ、ややソフトになったことにより、ドリフトに関してもワンランク上の使い勝手になっています。

TIEMCO:LDL フロロティペット
光の屈折率が水に近いため、水面からその存在をすみやかに消し去ることが出来ます。
同時にティペットの乱反射を最小限に抑え、フラットな水面のシビアな状況などで高いステルス性能を発揮します。

まとめ
今回は、フライフィッシングで使用するフライラインとリーダー、そしてティペットについてのご紹介でした。
渓流のドライフライフィッシングで使用するフライラインはどんな種類が適しているのか、テーパードリーダーの長さや太さ、ティペットの素材や太さなどはどんなものがいいのか。
フライフィッシングを楽しむためには非常に重要なアイテムであることが解ったと思いますので、この記事を参考にバランスに優れたラインシステムを構築して下さい。
次回は、ドライフライフィッシングで使用するフロータントやアクセサリーについてご紹介したいと思いますので、お楽しみに。
それではまた。
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