
スロージギングをしていると、必ずと言っていいほど遭遇するのが「ジグが全然動かない」「今日は潮が重いな……」と感じる日です。
シャクってもジグの反応が鈍いし、フォールも気持ちよく決まらない、リールを巻く手は鉛のように重く、ジグが今どこで何をしているのか全く分からなくなる・・・。
そんな状況に直面すると、「今日はダメな日だ」と早々に諦めてしまう事も。
しかし、実は潮が重い日だからこそ有効になる考え方やロッド操作、ジグ選びが存在しますし、むしろ、何も考えずにシャクり続けてしまうと、魚にジグを見せるチャンスすら作れないこともあります。
この記事では、スロージギングにおける「潮が重い」とは何かを整理しつつ、ジグが動かない日の具体的な対処法を、タックル・操作・思考の面から詳しく解説していきます。
それでは始めます。
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「潮が重い」とは?
スロージギングにおいて、釣り人が「潮が重い」と感じる時、海中では一体何が起きているのでしょうか?
この正体を正しく理解しないまま、ただ闇雲に重いジグを投入しても、疲労が溜まるだけです。
水圧と摩擦抵抗
第一の要因は「水圧と摩擦抵抗」と言われています。
水深が深くなればなるほど、ラインに掛かる水圧は増大しますし、潮流が速ければ、ラインが弓なりにたわむ「糸ふけ」が発生します。
このたわんだラインを真っ直ぐにしようとする力が、リールを巻く際の手応えとして「重さ」に変わると考えられます。

二枚潮・三枚潮
第二の、そして最も厄介な要因が「二枚潮や三枚潮」などの多層潮と言われています。
海面付近の潮と、底付近の潮が異なる方向や速度で流れている状態を二枚潮と言い、この場合、ラインは海中で「S字」や「くの字」に折れ曲がります。
こうなると、ロッドを1メートル煽っても、ジグは少ししか動いていない、あるいはほとんど動かずにラインのたわみが深まるだけという現象が起こるという事です。
潮が重い日にありがちな失敗パターン
潮が重いと感じた時、多くのアングラーがやってしまう失敗があります。
一つ目は「無理に大きくシャクる」ことで、ジグを動かそうとすればするほど操作が雑になり、結果的にジグが暴れるだけで喰わせの間が消えてしまいます。
二つ目は「ジグを頻繁に替え過ぎる」ことで、根本的な原因が操作やライン角度にある場合、ジグを替えても状況は改善しません。
三つ目は「活性が低いと決めつける」ことで、実際には魚が居ても、ジグを見せる形になっていないだけ、というケースは非常に多いです。

潮が重い時のタックルセッティング
スロージギングは非常に繊細なバランスの上に成り立つ釣りですので、状況が分かったところで、次は「タックルセッティング」で解決を図りましょう。
ロッドの反発力
「潮が重くてロッドが入りすぎる(曲がりすぎて戻らない)」なら、迷わずロッドのパワー(追従性)を上げてみてください。
普段は「3番」を使っているなら「4番」へ上げるなど。
ロッドを強くする理由は、ジグを高く跳ね上げるためだけではなく、「ラインのたわみを一瞬で真っ直ぐにする」ためのパワーを得るためで、ダイレクトに力をジグへと伝えてくれます。

ラインシステム
ラインの太さは、潮流の抵抗を受ける面積に直結します。
例えばPE2.0号から1.5号に落とすだけで、海中での操作性は劇的に向上します。
ただし、細くするとラインの強度は落ちますので、高価なジグを失うリスクや、不意の大物への対応力が低くなります。
しかし、リールのドラグ設定や結束方法を見直す事である程度は対応出来ますので、ラインシステムを見直してみる事も重要になります。
ラインを細くする事で、重い潮の中でも感度を損なわず、微かなバイトを拾うことができます。
フックを見直す
意外と見落としがちなのが「フックの抵抗」です。
太軸の大きなフックに長いアシストラインは、それ自体がパラシュートのような役割を果たし、ジグの動きを阻害します。
潮が重い時は、フックをワンサイズ小さくするか、水の抵抗を受けにくい細軸のタイプに変更する事で、ジグの「抜け」が驚くほど良くなることがあります。
メタルジグの選択
「潮が重い=ジグを重くする」という発想は正解の一つですが、すべてではありません。
大切なのは「水切り」です。
なぜ「重くする」だけでは解決しないのか?
150gで動かないから200gにする。確かに底取りはしやすくなります。
しかし、ジグが重くなればなるほど、それを動かすためのエネルギー(アングラーの筋力とロッドの反発力)も多く必要になります。
結果として、ジグがただの「鉛の棒」として上下するだけになり、スロージギング本来の「横を向く動き」や「間」が失われてしまいます。

抜けの良いジグの活用
潮が重い時に最強の味方となるのが、「スリムなセミロングタイプ」のジグです。
潮抜けの良いスリムタイプのジグは、潮を切り裂いて進むため、引き抵抗が軽く、軽い力でもジグを横に向けやすいという特性があります。
特に、断面が三角形に近い形状や、エッジが鋭いジグは、水流を整流してくれるため、複雑な潮流の中でもクイックなアクションが可能です。

カラーの選択は後回し
潮が重い日に「どの色が良いか」を悩むのは後回しで構いません。
それよりも「どのジグが一番ストレスなく自分の意図通りに動くか」を最優先してください。
自分の操作とジグの動きがリンクした瞬間、魚は必ず応えてくれます。
潮が重い日のジグ操作
重い潮の中では、普段の「教科書通りの1ピッチ」などの操作だけでは通用しません。
1ピッチからハーフピッチなどへ移行
潮が重い中、力任せに1回転(1ピッチ)巻こうとすると、ロッドが曲がりきった状態で固まり、ジグが動き出す前に巻き終わってしまいます。
これを解決するのが「ハーフピッチ(半回転)」や「クォーターピッチ(1/4回転)」などへの移行です。
短い距離を刻むことで、ロッドの反発力を小刻みに使い、ジグを「常に震わせる」や「少しずつ横に向ける」ことができます。
大きな動きで騙せないなら、細かい刻みで魚の側線を刺激するなど、様々なアプローチを試す事が大事です。
テンションフォールの重要性
スロージギングの基本は「フォール」ですが、重い潮でラインが大きくふけている時に完全なフリーフォールをさせると、ジグはどこへ行くか分からなくなります。
その場合、「ラインテンションをわずかに残したテンションフォール」が有効になります。
リールのスプールを軽く指で触れながら、ラインが「張らず緩まず」の状態を維持してジグを落としていく事で、潮に流されるのを防ぎつつ、ジグの姿勢を安定させることができます。

サミング
二枚潮などの潮が複雑な時は、フリーでフォールさせるとジグが着底するまでの間にどんどんラインが流されます。
これを防ぐには、サミング(スプールを押さえる操作)を確実に行い、ジグの自重をしっかり感じる状態でフォールさせる感覚が必要です。

重い潮を「味方」に付ける
重い潮は、実はチャンスの宝庫でもあります。
潮 目
「潮目」とは、潮流の境目のことを言います。
リーリングしている時に、ハンドルの重さが急に変わる場所、そこが「潮目」であり、プランクトンやベイトが溜まる場所でもあります。
「ここから重くなったな」と感じたら、そこが集中的に攻めるべきレンジ(棚)と言えますので、 重い潮を嫌がるのではなく、その変化を察知するためのセンサーとして自分の腕を利用しましょう。

超スローな誘い
重い潮に身を任せている魚にとって、素早い動きは追いきれないストレスになります。
そんな時は、潮の抵抗を利用してロッドをゆっくり持ち上げ、潮の重みを感じながら、ゆっくりと戻し、「ジグを空中で漂わせる」ように操作します。
そうするとジグは海中で「ゆらゆらと揺れながら、その場に留まる」ような動きを見せます。
これが、食い渋る根魚などに、非常に有効な場合があります。

疲労を最小限に抑える体の使い方とメンタル
重い潮との戦いは、体力勝負でもありますので、一日やり通すためのコツを紹介します。
腕で巻かない
重い潮の日に腕だけでリールを巻こうとすると、すぐに腕がパンパンになり、集中力が切れます。
コツは、「体全体でリズムを取る」ことで、リールを巻くというより、体幹のひねりでジグを持ち上げるイメージです。
これにより、長時間重い負荷がかかっても疲れにくくなります。
「釣れない時間」こそが最大のチャンス
「潮が重くて釣りづらい」と周りのアングラーが諦めかけた時がチャンスです。
船中の誰のジグも正しく動いていない中、タックルを調整し、適切なピッチで誘い続けていれば、魚の視線はそのジグに釘付けになり、「一人だけが爆釣」ということも・・・。

まとめ:重い潮を制する者がスロージギングを制す?
潮が重い日は、確かに簡単な日ではありませんが、同時に決して敵でもありませんし、ジグの動き、潮の変化、魚の反応を学ぶには、これ以上ない教材でもあります。
◆ 状況分析:二枚潮なのか、単に潮が速いだけなのかを見極める。
◆ タックル調整:ロッドの追従性を上げ、ラインとフックの抵抗を減らす。
◆ ジグ選択:ジグのウェイトだけに頼らず、水切りの良いジグを選択する。
◆ 操作:ハーフピッチやテンションフォールを駆使する。
◆ メンタル:変化を楽しみ、体全体を使って最後までやり抜く。
これらの要素を一つずつ実践していけば、どんなに潮が重い日でも、ジグは水中で輝き始めます。
次の釣行で「今日は潮が重いな」と思ったら、タックルボックスから潮抜けの良い最強のジグを取り出してください。
その先に、まだ見ぬ大物との出会いが待っています。




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