
キャンプ用ストーブ(バーナー)は、料理や湯沸かしに欠かせない必須アイテムですが、使い方を誤ると重大な事故につながる危険性も秘めています。
実際、ストーブの誤った使い方による火災や一酸化炭素中毒、爆発事故が毎年のようにニュースで流れます。
それらの事故の多くは、製品不良ではなく、燃料の特性を理解しないまま使ったことによるもので、燃料ごとに危険ポイントや注意点は大きく異なります。
本記事では、ガス、ガソリン、アルコールなど燃料別に、それぞれの安全対策と注意点を初心者にも分かりやすく、具体例を交えて詳しく解説します。
正しい知識を身につけ、安全で快適なキャンプを楽しみましょう。
関連記事

「便利さ」の裏に潜むリスク
キャンプで起きるストーブ事故の多くは、「ちょっとした油断」や「知識不足」が原因です。
ガス缶の過熱や燃料漏れ、換気不足による一酸化炭素中毒など、どれも正しい使い方を知っていれば防げるケースがほとんどです。
特に注意したいのが、キャンプに慣れてきた頃で、「この前も大丈夫だったから」という油断が、事故を招きやすくなります。
ストーブは便利な反面、常に危険と隣り合わせの道具であることを絶対に忘れてはいけません。

ストーブ用燃料の種類と特徴
キャンプ用ストーブの燃料は、大きく分けて以下の4種類があります。(薪や炭を除く)
【燃料の種類】
◆ ガス(OD缶)
扱いやすく、初心者でも手軽に扱える。
野外での使用を想定しているため、厳しい環境下でも使える。
◆ ガス(CB缶)
CB缶はコンビニやスーパーなど、何処でも手に入る。
OD缶に比べて、厳しい環境下では火力が安定しない。
◆ ガソリン・灯油
寒冷地などの厳しい環境下でも火力が安定。
取り扱いには慣れが必要で、初心者には難しい。
◆ アルコール・固形燃料
火力が小さい。
炎が見えずらいため火傷などに注意が必要。

「燃料別」安全対策
キャンプで使われるストーブは、大きく分けて4つの燃料タイプがあり、それぞれの「癖」を理解することが、安全への第一歩です。
OD缶ガス燃料の安全対策
丸っこい形をした「OD缶(アウトドア缶)」は、寒さに強く、キャンプなどのアウトドア専用に設計されています。
【OD缶燃料の安全対策】
◆ 接続部のチェック
バーナーと接続する際、少しガスが「シュッ」と漏れる音がしますが、焦って斜めにねじ込んだりすると、ネジ山が潰れてガス漏れの原因になるため注意が必要です。
また、漏れを恐れてペンチなどで締め上げるのもNGで、その場合パッキンを痛めてしまい、ガス漏れの原因になりますので、「手で止まるまで締める」だけで十分です。
◆ 「指定外のガス缶」は使わない
SOTO、スノーピーク、プリムスなど、メーカーごとに口金の形状やピンの長さが微妙に異なりますので、「ネジが合うから」と他社の缶を使うと、微細な隙間からガスが漏れ、引火する恐れがあります。
必ず同一メーカーのものを使用して下さい。
◆ 安定感の確保
OD缶ストーブは、OD缶の上にストーブ本体を接続するため重心が高くなり、またOD缶の底面が小さいため、大きな鍋を乗せると不安定になります。
出来るだけ大きなクッカーの使用は避け、且つ別売りの「カートリッジスタビライザー(三脚)」などを併用し、転倒による炎上を防いで下さい。
関連記事

CB缶ガス燃料の安全対策
最も身近な燃料で、コンビニでも手に入る「CB缶(カセットボンベ缶)」を使用するタイプです。
【CB缶燃料の安全対策】
◆ 「輻射熱」の恐怖
CB缶ストーブで最も多い事故が爆発です。
原因の多くは、バーナーを覆うような「大きな鍋」や「鋳鉄製のスキレット」「鉄板」の使用によるものです。
これらから発せられる熱がガス缶を直接熱し、中の圧力が急上昇して爆発します。
「五徳からはみ出す調理器具は使わない」、これが鉄則です。
また、風が有るからと言ってガス缶を「風防」で覆い、結果熱がこもってガス缶が熱せられて爆発という事もありますので、風防でガス缶を覆うのではなく、風を除けるように離して設置する。
◆ 家庭用コンロの屋外使用に注意
家庭用のカセットコンロをそのままキャンプへ持っていく方も多いですが、風で炎が煽られると、コンロ本体が異常加熱したり、立ち消えしてガスが漏れ続けたりするリスクがあります。
必ずIwataniの「カセットフー “タフまる”」などの、「屋外専用(風防付き)」のコンロを使用して下さい。
◆ ドロップダウン現象
冬場に火力が弱くなる「ドロップダウン」を解消しようとガス缶を火に近づけたり、カイロで温めたりするのは絶対にやめてください。
加熱しすぎによる爆発のリスクがあります。
関連記事


ガソリンや灯油燃料の安全対策
ガソリン(ホワイトガソリン)や灯油などの液体燃料は、主にベテランの方が使っているイメージですが、初心者には最も「注意」が必要な燃料でもあります。
【ガソリン・灯油燃料の安全対策】
◆ ポンピング作業の重要
燃料タンク内の空気を加圧する「ポンピング」という儀式にも似た作業が必要です。
これが不十分だと、燃料が霧状にならず「生ガソリン」が吹き出し、火だるまになる危険性がありますので、指に圧力を感じるまで、しっかりと加圧する必要があります。
◆ プレヒート(予熱)の失敗
灯油燃料は、熱せられた管を通ることでガス化します。
この予熱が足りないと、点火した瞬間に大きな火柱が上がることがありますので、その際は、落ち着いてバルブを閉め、火が収まるのを待ちます。
◆ 燃料の抜き取り
撤収時に、タンク内に圧力が残ったままだと、移動中の振動で燃料が漏れ出す危険性がありますので、必ず圧力を抜き、できれば燃料をボトルに戻してから運搬することをおすすめします。
関連記事

アルコールや固形燃料の安全対策
静かで軽量なアルコールストーブや固形燃料ですが、「見えない危険」が潜んでいます。
【アルコール・固形燃料の安全対策】
◆ 「見えない炎」
アルコールの炎は、日中はほとんど見えません。
火が消えたと思って手を近づけたり、燃料を注ぎ足そうとしたりして、衣服に引火する事故が多く発生していますので、手をかざして熱気を確認するなど、明るい場所では細心の注意が必要です。
◆ 燃料の継ぎ足し厳禁
まだ火が残っている状態で燃料を注ぐと、ボトル内の燃料に引火し、恐ろしいことになります。
必ず「完全に火が消えたこと」を確認してから継ぎ足すようにしてください。
◆ 転倒時の対処
アルコールがこぼれて燃え広がるため、平坦な場所で使用する事が大事です。
あらかじめ濡れたタオルを準備しておき、万が一、炎が燃え広がったら、焦らずにそのタオルで覆い、窒息消火させます。
水を掛けて消そうとすると、かえって燃え広がりますので、絶対にしないで下さい。
関連記事

全ストーブ共通の絶対に守るべきルール
燃料が何であれ、これだけは守らなければならない「ルール」があります。
テント内・車内での使用は【厳禁】
「少し寒いから」とか、「前室なら大丈夫」という安易な考えが危険を招きます。
ガスやガソリンが燃焼するには大量の酸素が必要ですが、密閉された空間ではすぐに酸素が不足し、不完全燃焼を起こして「一酸化炭素(CO)」が発生します。
一酸化炭素は無色無臭ですので、気づかないうちに意識を失い、そのまま亡くなるケースが後を絶ちません。
【一酸化炭素中毒にならないための対策】
ストーブは必ず屋外で使用すること。
使用が許可されている大型幕などで使う場合は、一酸化炭素チェッカーを必ず2個以上(故障に備えて)設置し、ベンチレーションを全開にして使用すること。
2台並べての並列使用は【厳禁】
大勢で焼肉をするため、大きな鉄板を用意し、2台のバーナーを並べて使うのも非常に危険です。
2つの熱源による熱が互いを加熱し合い、ガス缶の破裂を誘発しますので、大人数で焼肉などをする場合は、大型の専用グリルなどを使って下さい。
周囲の可燃物との距離に注意
風が吹くと、炎は想像以上に伸びます。
また、ストーブ自体の熱で地面の芝生が焦げることもありますので、注意が必要です。
テントの壁面やタープ、落ち葉やキッチンペーパー、それに除菌スプレーなどは、ストーブから少なくとも1メートル以上は離して置くことをおすすめします。

もしもの時の応急処置と備え
「火が上がった!」その時、どう動くかで被害の大きさが変わります。
【応急処置と備え】
◆ 炎上したら
まずは燃料の供給を止めるため、燃料バルブを閉めます。
手で触れない場合のために、常に皮手袋を準備しておく。
また、炎が大き過ぎて無理に近づけない場合は、消火スプレーなどを使用して初期消火を行う。
それでもダメな場合は、燃えやすいもの(テントやチェア)をストーブから遠ざけ、速やかに関係機関(消防や管理棟)に連絡する。
◆ 水は掛けない
ガソリンや灯油、アルコールが燃えている場合、水をかけると火が飛び散り、かえって燃え広がり逆効果になることがありますので、絶対に水は掛けない。
◆ 消火アイテムの常備
アウトドアショップで売られている簡易消火スプレーは、初期消火に非常に有効です。
まあた、アルコールストーブや小さな炎の場合は、大きな濡れタオルで覆い、空気を遮断(窒息消火)するのが最も確実です。

メンテナンスの重要性
キャンプギアのメンテナンスは非常に重要で、特にストーブに関しては、安全に直結します。
【ストーブのメンテナンス】
◆ Oリング(パッキン)の交換
ガスストーブやガソリンストーブなどの接続部にあるゴム製のリングは消耗品です。
ひび割れがないか、硬くなっていないか、半年に一度は確認し、劣化しているようであれば確実に交換する事が大事です。
◆ 燃料の保管場所
ガス缶やガソリンを、夏場の車内や直射日光の当たるベランダに放置するのは非常に危険です。
湿気が少なく、温度変化の少ない冷暗所に保管してください。
◆ 点火確認は自宅で
キャンプ場に着いてから「つかない!」となると、焦って無理やり修理を使用としてしまいます。
必ず出発前に、庭やベランダで点火チェックをすることをおすすめします。

まとめ:正しい知識を身に付ける
キャンプにおける「火」は、私たちに温もりと美味しい料理を与えてくれる素晴らしい存在ですが、それは正しい知識があってこそです。
1.燃料ごとのリスク(輻射熱、炎上、見えない炎)を理解する。
2.テント内での使用は絶対に避ける。
3.出発前の点検と、現場での丁寧な操作を心がける。
この3点を守ることにより、キャンプの安全性は飛躍的に高まります。
「自分は大丈夫」という過信を捨て、「慎重に火を扱う」、それこそが楽しいキャンプをする事に繋がると思います。
次回のキャンプでは、この記事で学んだチェックポイントを一つずつ確認しながら、安全で美味しいキャンプ飯を楽しんでください。




コメント