
スロージギングってどんな魚が釣れるんだろう、ジギングって言うくらいだから青物かな・・・など、どんな魚がターゲットなのか分からない方が多いのではないでしょうか。
スロージギングは魚を食べる魚、いわゆるフィッシュイーターと呼ばれる魚であれば何でも釣れます。
中には「こんなのも釣れるの?」と思う魚も釣れたりしますし、言い方を変えれば何が釣れるか分からないという楽しみもあります。
今回から2回に分けて東北の太平洋側で釣れる主な魚についてご紹介していきますが、パート1の今回は、根魚や底物、そして中層で釣れる主な魚のご紹介になります。
また、紹介する魚は食べても非常に美味しい魚ばかりですので、自分で釣って食べるという釣り人ならではの楽しみもありますので、お楽しみに。
それでは始めます。


根 魚
三陸で釣れる根魚は釣り味が良くて、食べても非常に美味しい魚が多く、オフショアフィッシングでは絶対に外せないターゲットですが、その中から主なものをご紹介します。
アイナメ
アイナメは三陸を代表する魚で、アブラメとかアブラコとか地域によって呼び名が変わります。
ビール瓶を超える太さのサイズのファイトは独特で、頭を左右に振りながら強烈な引きを見せてくれるので非常に楽しいです。
通年連れますが、最盛期は春先から7月頃までで、所によってはアイナメの釣り大会も開かれるくらい人気な魚です。
アイナメの特徴
釣り場・・・磯場~水深100m程度の岩礁帯など
サイズ・・・最大で60cm超
時期・・・通年、最盛期は春先から7月頃
ジグでの釣り方・・・底付近、活性が高い時は中層まで追い食い。
ジグの形状・・・ショート、セミロング
ジグカラー・・・春先はレッド、パープル系、夏~秋はイワシ系やシルバー系
食べ方・・・刺身◎、煮物◎、焼魚◎
ジギングを始めた30年ほど前は、体長60cmを超える一升瓶のような太さの大物が釣れましたが、今では最大でも50cm程度で、全体に小型化してきているのは間違いありません。
旬は3~7月頃になり、脂の乗った甘味のある刺身は絶品で、白身魚の中ではトップクラスの美味しさで、市場でも高値で取引されています。
特に、40cmを超えるアイナメのほとんどは都市部へ出荷され、高級料亭などで刺身や煮魚として提供されて消費されるみたいです。

そんなアイナメですが年々釣れにくくなってきており、ここ数年は特に厳しい状況が続いていますが、これも温暖化による海水温の上昇も影響しているのは明らかだと思います。
魚を獲る事を生業としている漁師さんにとっては非常に大きな問題となっています。

ソイ(マゾイ、クロソイ)
ソイも東北沿岸ではポピュラーな魚で、刺身はもちろん煮ても焼いても美味しい魚で、ソイの漬丼をランチで提供しているお店もあるくらいです。
50cmを超えるソイは見た目からゴジラと呼ばれ、強烈な引きで釣り人を楽しませてくれます。
ソイの特徴
釣り場・・・沿岸~水深100m程度の岩礁帯など
サイズ・・・最大で60cm程度
時期・・・通年
ジグでの釣り方・・・底付近、活性が高い時は底から10m程度まで。
ジグの形状・・・ショート、セミロング
ジグカラー・・・春先はレッド、ブラック系
夏~秋はイワシ系やシルバー系、オレンジゼブラ
食べ方・・・刺身〇、煮物◎、焼魚〇
アイナメほどではないですが、40cmを超えるサイズは年々少なくなってきているように思います。

写真はゴジラと呼ばれるソイですが、近年はめっきり少なくなりました。
以前は釣行毎に必ず釣れる魚でしたが、近年は全く釣れない日が多くなり、温暖化による海水温の変化が影響しているのかなと思ったりしています。

メバル
メバルは比較的深場で釣れる魚で、煮付で食べられることが多く、春告魚とも呼ばれています。
引きを楽しむというよりは食味を楽しむ魚で、非常に脂がのっていて美味な魚です。
メバルの特徴
釣り場・・・水深60m~150m程度の岩礁帯など
サイズ・・・最大で40cm程度
時期・・・通年
ジグでの釣り方・・・底から10m程度まで。
ジグカラー・・・グロー系、レッド系
食べ方・・・煮付◎、刺身◎、焼き魚〇
アイナメやソイを狙っている時のゲストとして釣れる事が多く、メタルジグで1匹ずつ釣り上げるより、多点掛け出来る餌釣りの方が効率が良い魚でもあります。
底 物
ヒラメ
ヒラメは底物の代表格で、ジギングの絶好のターゲットでもあり、特に秋から初冬は身の厚い座布団と呼ばれるようなヒラメが狙えます。
70cmを超えるヒラメは、ブリやワラサとは一味違う強烈な引きで釣り人を楽しませてくれます。
ヒラメの特徴
釣り場・・・沿岸~100m程度の岩礁や砂地
サイズ・・・最大で1m程度
時期・・・6月~12月
ジグでの釣り方・・・底付近、活性が高い時は底から10m程度まで。
ジグの形状・・・ショート、セミロング
ジグカラー・・・イワシ系、ブルー系、シルバー系、オレンジゼブラ
食べ方・・・刺身◎(時期による)、煮魚△、焼き魚△
6月頃から徐々に釣れ始め、ベストシーズンは秋~初冬で、身の厚さを増して美味しくなり、強烈なファイトを楽しませてくれます。

写真は私が釣ったヒラメの最大魚で90cmありますが、食べては大味で美味しくありません。
50cm前後の身の厚いヒラメが一番美味しいですし、市場でも高値で取引されます。
歯が非常に鋭くて危ないので、ジグを外す際は十分に気を付けて下さい。
温暖化による海水温の上昇が影響なのか、イワシが通年見られるようになり、それを餌にしているヒラメの平均サイズが近年は明らかに大きくなったように思います。
以前は70cmオーバーのヒラメはシーズンに1匹釣れるかどうかでしたが、ここ数年はコンスタントに70~80cmオーバーが釣れるようになりました。
釣っては面白いのですが、食べては大味で美味しくないのであまり喜べないですけど。

真 鱈
真鱈は三陸を代表する魚の一つで、大きい真鱈は掛かった時は強烈な引きで抵抗しますが、その後は割とすんなり上がってくることが多いです。
白子と共に鍋料理にすると絶品で、冬の定番鍋料理と言えます。
真鱈の特徴
釣り場・・・産卵期の冬場や春先は50m~100m
その他の時期は100m以深
サイズ・・・最大で1.2m程度
時期・・・通年
ジグでの釣り方・・・底付近、活性が高い時は底から10m程度まで。
ジグの形状・・・ショート、セミロング
(フォールが早いほうが有利)
ジグカラー・・・何色でも可。特にこれといったものは無し。
食べ方・・・刺身△、鍋料理◎、焼き魚〇
新鮮でなければ食べることの出来ない、白子の刺身や天ぷらは絶品で、これが食べられるのも釣り人の特権です。
冬というイメージが強いですが、身は夏場の方が美味しいと言われています。
以前は産卵後に春まで浅場に残っていたので4月頃まで釣れていたのですが、近年は産卵が終わると直ぐに深場へ戻るからなのか釣れにくくなりました。
今までの経験では、ある程度まとまって鱈がいる場合、早く底に着いたジグに大物が喰いつく傾向が見られるため、フォールが早いジグが有利なように思います。

ムシガレイ
ムシガレイはミズクサガレイとも呼ばれ、カレイにしては珍しくジグに反応する魚で、アイナメやソイ、ヒラメなどの底付近を狙っている際に外道として釣れる事が多い魚です。
ムシガレイの特徴
釣り場・・・沿岸~100m程度の海底
サイズ・・・最大で40cm程度
時期・・・通年
ジグでの釣り方・・・アイナメやソイの外道
ジグの形状・・・ショート、セミロング
ジグカラー・・・アイナメ、ソイ狙いの際のジグカラー
食べ方・・・刺身△、煮魚〇、焼き魚◎(一夜干し)
私は一夜干しにして焼いて食べていますが、適度に脂がのっていて非常に美味しい魚です。

ガヤ
正式名称はエゾメバルですが、三陸ではガヤの方がピンとくる方が多いのではないでしょうか。
ガヤガヤたくさん釣れるからガヤと呼ばれるようになったと言われていて、アイナメやソイの外道として釣れます。
ガヤの特徴
釣り場・・・沿岸~100m程度の海底
サイズ・・・最大で40cm程度
時期・・・通年、春によく釣れる
ジグでの釣り方・・・アイナメやソイの外道
ジグの形状・・・ショート、セミロング
ジグカラー・・・アイナメ、ソイ狙いの際のジグカラー
食べ方・・・刺身〇、煮魚〇、焼き魚〇
釣り味はソイと同じような感じですが、食味は少し落ちるように爺は思います。

ウッカリカサゴ
うっかりしてカサゴと間違う事からウッカリカサゴと呼ばれるようになったとか。
この魚も根魚や底物を狙っている際に、外道として釣れてくる魚です。
ウッカリカサゴの特徴
釣り場・・・沿岸~100m程度の岩礁帯など
サイズ・・・最大で40cm程度
時期・・・春~夏に根魚などの外道として釣れる
ジグでの釣り方・・・アイナメやソイの外道
ジグの形状・・・ショート、セミロング
ジグカラー・・・アイナメ、ソイ狙いの際のジグカラー
食べ方・・・刺身〇、煮魚〇、焼き魚〇

刺身でも煮ても美味しい魚だと思いますが、マゾイなどと比べると食味は少し落ちるような気がしますが、あくまでも個人の感想です。

ホウボウ
ホウボウは、夏場から秋にかけてヒラメ狙いの際の外道として釣れる事が多い魚です。
東北より南の地域では高級魚として食べられているみたいで、外道と呼ぶには申し訳ない魚みたいです。
ホウボウの特徴
釣り場・・・沿岸~100m程度の砂地など
サイズ・・・最大で60cm程度
時期・・・夏~秋にヒラメなどの底物の外道として釣れる
ジグでの釣り方・・・ヒラメの外道
ジグの形状・・・ショート、セミロング
ジグカラー・・・ヒラメ狙いの際のジグカラー
食べ方・・・刺身〇、煮魚〇、焼き魚〇、揚げ物〇
頻繁に釣れる訳ではありませんが、船上で月に1~2匹は釣れてきます。

胸鰭が大きくて青い縁取りが特徴的な、非常に美しい魚です。
食味は鯛やヒラメと並び称される高級魚という事ですが、爺の調理の仕方が下手なのか、アイナメの方が美味しく感じます。(あくまでも個人の感想)

底付近~中層
ホッケ
ホッケは、晩冬~春に、根魚や底物を狙っている際にゲストとして釣れる事が多い魚です。
外道と言うのも失礼なくらい美味しい魚で、40cmを超えるものは脂が乗っていて非常に美味です。
ホッケの特徴
釣り場・・・沿岸~100m程度の底付近~中層
サイズ・・・最大で50cm程度
時期・・・晩冬~春に根魚などの外道として釣れる
ジグでの釣り方・・・根魚などの外道
ジグの形状・・・ショート、セミロング
ジグカラー・・・アイナメ、ソイ狙いのジグカラー
食べ方・・・刺身◎、煮魚〇、焼き魚◎
刺身は絶品で、痛むのが早い魚ですのでスーパーなどでは絶対にお目に掛かれませんが、これを食べることが出来るのも釣り人の特権です。
ただし、アニサキスも寄生していることが有りますので、刺身で食す場合は十分に気を付けて食べてるようにして下さい。

サクラマス
サクラマスは北海道や東北の春を代表する魚で、釣り味も良く刺身でも塩焼きでも美味しく頂くことが出来る魚です。
以前はジグで釣る方が少なかったように記憶していますが、今ではサクラマスジギングが春の風物詩と言っていいくらいの人気となっています。
サクラマスの特徴
釣り場・・・沿岸付近を回遊
サイズ・・・最大で80cm程度
時期・・・春の桜が咲くシーズン
ジグでの釣り方・・・魚探の反応や船長の指示棚を狙う
ジグの形状・・・ショート、セミロング
ジグカラー・・・グリーンゴールドなど(私はシルバーで実績有り)
食べ方・・・刺身◎、煮魚×、焼き魚◎

基本的な釣り方は、魚探の反応を見ながらその棚を攻めるような感じになりますので、カウンター付きのベイトリールがお勧めで、素早くその棚に合わせる事が可能になります。
ワンピッチジャークが基本と言われていますが、爺の場合は様々なジャークで釣れていますので、基本はワンピッチとしておいて、自分なりの釣り方を試してみるのも楽しいと思います。
また、魚探に全く反応が無い場合でも釣れる事があるため、集中力を切らさず頑張ってください。
口が弱いためドラグを締めすぎているとファイトの際に身切れしてバラしてしまう危険性があるので、経験上ドラグは弱めにセットして、スムーズにラインが出て行くようにした方が良いと思います。
ロッドに関しては、柔らかくて粘りがあるロッドの方がバレや身切れが起こりにくくて適していると思います。
寄生虫がいる可能性があるため刺身で食す場合は、最低でも3~4日は冷凍してから食べて下さい。
また、釣れるサクラマスの中には30cm台の小さなものも含まれることがありますので、釣れた魚のダメージがそれほどではない場合は、今後も釣りを楽しむために優しくリリースする事をお勧めします。

番外編
ミズダコ
ミズダコは、根魚や底物などを狙っている際に外道として釣れる事があり、ジグを餌だと思って抱きついた際に、フックが引っ掛かって釣れる事がある。

特に引く事も無く抵抗もしないので、最初は何かゴミでも引っ掛かったかな?というような感じで上がってきます。
ミズダコの特徴
釣り場・・・沿岸~200mの底
サイズ・・・最大で2mを超える
時期・・・通年
ジグでの釣り方・・・根魚狙いの際に引っ掛かって釣れる
ジグの形状・・・ショート、セミロング
ジグカラー・・・特に無し
食べ方・・・刺身◎、焼物(一夜干し)
近年は地球温暖化の影響で海水温が高くなり、低い海水温を好むミズダコが減ってきて、代わりに比較的暖かい海に生息する、食べてもあまり美味しくない石ダコが増えてきました。
私は趣味で釣っているだけなのでいいのですが、タコ籠漁を生業としている漁師さん達は本当に大変だと思います。

イカ(マイカ、ヤリイカ)
イカは夏~秋口に、ヒラメなどを狙っている際に底や中層付近に反応がある場合など、ジグに引っ掛かって釣れてくることが有り、掛かるとジェット噴射で抵抗しますし、引きが独特で楽しみでもあります。
イカの特徴
釣り場・・・沿岸~100m以深を回遊(底~表層)
サイズ・・・最大で胴長30cm程度
時期・・・夏~秋
ジグでの釣り方・・・ヒラメ狙いの際など
ジグの形状・・・ショート、セミロング
ジグカラー・・・特に無し
食べ方・・・刺身◎、煮る〇、焼く◎(一夜干し)
狙って釣れると言うわけではありませんが、非常に美味しい外道なので釣れると嬉しいです。

以前底付近に反応が出た時に、餌木をドロッパーとしてジグのアイに結び、底付近をゆっくりとしゃくらせて爆釣したことがありました。
今も餌木は持って行っていますが、最近はそれすらも面倒なのでやっていません。

まとめ
太平洋側の東北地方ではスロージギングでどんな魚が釣れるのか、という事で、パート1の今回は根魚や底物、そして中層で釣れる主な魚をご紹介してきました。
強烈なファイトはもちろん食べても美味しい魚が多く、特に今回ご紹介した根魚や底物は、スーパーでは手に入らない釣り人でなければ味わえない美味しい魚が多いのも特徴です。
釣って楽しんで、食べて楽しんで、皆さんも始めてみてはいかがですか?
次回のパート2は、太平洋側の東北地方で釣れる青物や、近年の温暖化による海水温の上昇にともなって釣れるようになってきた魚についてご紹介しようと思います。
それではまた。

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