
スロージギングでは、メタルジグの動きやロッド操作、そしてリールのドラグ性能と同じくらい大切なのが「ノット(結束)システム」です。
どれだけ高価なジグや強靭なタックルを使っても、ノットが甘ければ一瞬でラインブレイク・・・、そんな悲しい結末を防ぐためにも、正確で信頼できるノットシステムを身につけることが必須です。
この記事では、釣り場で行うノットの基本から、初心者でも結べるおすすめノット、そして強度を保つコツまでをわかりやすく解説します。
初めてのジギングでも安心して挑めるよう、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事

スロージギングにおけるノットの重要性とは
スロージギングでは、PEラインとリーダー、そしてリーダーとメタルジグなど、複数のラインを結束して使います。
これらを正しく結束していないと、アワセを入れた瞬間や、魚とのファイト中に結び目がほどけたり、抜けたりしてしまいます。
特にスロージギングでは、いつ何処で誰に大物が掛かるか分かりませんので、確実で強い結び方が求められます。
つまりノットは、単なる「つなぎ」ではなく、タックル全体の命綱ですので、完璧なノットができるようになれば、ヒットした魚を安心してキャッチできるようになります。
「結束強度=ラインシステムの最大強度」であり、ノットの完成度が低ければラインの本来持つ強度の半分以下しか発揮できませんので、トラブルを防ぐためにもノットの習得は必須なのです。
関連記事

ノットの分類
スロージギングで使用するノットは、大きく2種類に分けられます。
PEラインとリーダーの結束
メインラインであるPEラインと、その先に結ぶフロロカーボンやナイロンリーダーを接続するためのノットです。
PEラインの滑りやすさと、瞬間的な負荷に耐える強度が求められるため、「摩擦系ノット」という、編み込んで摩擦で固定する結び方が主流です。

リーダーとメタルジグの結束
リーダーの先端を、ジグを接続するためのソリッドリングに結びつけるノットで、リーダーの持つ強度を最大限に引き出す結び方が求められます。
PEラインとリーダーの結束方法
スロージギングで最も重要とされているのが、PEライン(メインライン)とリーダー(ショックリーダー)の結束です。ここが弱いと、魚の引きや根ズレに耐えられません。
初心者におすすめなのは以下の3種類です。
✦ FGノット
最もポピュラーな結束方法の一つで強度も抜群です。
PEラインとリーダーを摩擦で締め込み、細く仕上がるためガイド抜けもスムーズですが、正確に結束しないと本来の強度を得られませんので注意が必要です。
FGノットは初心者には多少難しいため、市販されているノットアシストツールを使用して、「ゆっくり・均等に・丁寧に」結束する事が重要です。
また、初心者の方が実際に釣り場で結ぶとなると、ノットアシストツールを使っても正確に結束するのは難しいと思いますので、現場で結び直す場合は、他の結束方法で結び直す事も想定しておいて下さい。

✦SCノット(簡易FGノット)
FGノットと似た構造ですが、編み込みの手順がシンプルで、FGノットに挫折した人でもマスターしやすいノットですし、強度も実釣で問題ないレベルを確保しています。
自宅で結束する場合はFGノットを使用し、現場で結び直す場合はSCノットを利用するのもおすすめです。
✦PRノット
ボビンノッターという専用のツールを使って編み込む結束方法で、正確に結束した場合は強度が非常に高いと言われています。
編み込み部が長く、締め込みが均一で抜けにくいのが特長です。
リーダーとメタルジグ(ソリッドリング)の結束方法
PEラインとリーダーの結束が重要なのはお分かりだと思いますが、リーダーとメタルジグ(ソリッドリング)の結束もおろそかにしてはいけません。
大きな青物をフッキングした瞬間は、非常に大きな力が結束部分に加わり、抜けてしまったのを何度か見ましたので、正確にきっちりと結ぶ必要があります。
ここでは、初心者におすすめな簡単な結束方法をご紹介します。
✦パロマーノット
非常に簡単で、結束強度も高いノットで、正確に結んだ場合はほぼ100%の強度を発揮すると言われています。
ラインを二重にして通すため、結び目のズレによる強度低下が起こりにくく、ソリッドリングや太めのリーダー(8号以上)でも結びやすいのがメリットです。
初心者の方に最もおすすめの結束方法です。

リーダーを折り返し、2本にした状態でソリッドリングに通す。

2本になっているラインをかた結びするように通す。

折り返したリーダーのループに、ソリッドリングを通し、ループを本線側に折り返す。

本線と端線を一緒に、ある程度たるみが無くなるまで引っ張ったのち、端線を、残っているループがしっかり締まるまで引き締める。
締め込む前に、リーダーを湿らせておく。
※先に本線側を引っ張ってしまうと、本線がヨレやすいので注意。
✦ダブルクリンチノット
リーダーとソリッドリングなどの金属パーツを結ぶ際に使われる、強度が高く結び方が簡単なノットです。
通常のクリンチノットでラインを金属の輪に1回通すところを2回通すことで、結束強度を向上させた結び方で、餌釣りやルアーフィッシングのどちらでも使えるため、入門者にもおすすめの結束方法です。

ベアリングスイベルのソリッドリングにリーダーを通す。

さらにもう一度、ソリッドリングにリーダーを通す。(計2回)

リーダーの先端を本線に3~4回巻き付ける。

巻き付けたリーダーの先端を、ソリッドリング部分に出来ている二重の輪に通す。

ノット部分を湿らせて、ゆっくりと締め付ける。
余ったラインをカットして完成。
抜けるのが怖いという方は、5mmほど残してカットし、残ったリーダーの先端部をライターで炙ってコブを作れば、抜けにくくなります。
結束の際の注意点など
実際に結束する際は、以下のポイントに注意して下さい。
【ノットの強度低下の主な原因】
●締め込み不足
結び目が緩いままだと、ズレたり抜けたりしやすくなります。
●摩擦熱による劣化
結束分を湿らせずに、そのままの状態で締め込むと、摩擦熱により劣化して強度が低下する。
●ラインのキズなど
PEラインやリーダーが劣化している場合、結束方法に係わらず、強度が低下します。
どんなノットでも、「しっかり締める・湿らせてから締める・力を均等にかける」が基本で、これを守るだけでノットの信頼性がぐっと上がります。
結束強度を最大化するためのコツ
結束強度は、ちょっとした工夫で大きく変わりますので、たとえ面倒でもひと手間加える事が重要になります。
【結束強度アップのためのひと手間】
●結ぶ前にラインをチェック
PEラインの毛羽立ちや、リーダーに傷がある部分は切り捨てる。
●リーダーの太さを適正化
PEラインに対して太すぎると締め込みにくく、細すぎると切れやすいため、バランスが重要。
●練習あるのみ!
ノットは数をこなすことで安定して結べるようになりますので、何度も練習する事が大事です。
最初は時間がかかってもOKです。
とにかく確実なノットを身につけることで、トラブルが激減しますし、大きな魚とのやり取りに自信が持てるようになります。
現場で役立つ結束方法
自宅で正確なFGノットを行ったとしても、実際の釣り場では高切れなどのトラブルは付きものです。
そうなると、揺れる船上で再びFGノットを組むのは、初心者にとっては至難の業ですので、それに代わる簡単で実釣に問題の無い結束方法を覚えておく必要があります。
【アルバートノット(改)】
非常に簡単なノットで、初心者の方でも簡単に結べますし、船の上でも簡単に結べるのがメリットで、FGノット等と比べると強度は落ちるという事ですが、現場で素早く結ぶのに適した結び方です。

本来のアルバートノットは、PEラインは折り返さずシングルで結びますが、爺の場合は折り返してダブルにして結びます。
違いはそこの部分だけです。

折り返したPEラインを、リーダーの輪の部分に通します。
通す際は上からでも下からでも問題ありませんので、自分のやりやすいほうで構いません。

爺の場合、巻き付ける回数は8回程度としています。
PEラインをダブルにしているので、あまり巻き付ける回数を増やすと、均等に締付出来なくなるからです。

巻き付けが終わったら、今度は戻るように逆側へ同じように巻き付けていきます。

戻る際の巻き付け回数も同じ8回です。

巻き付けが終わったら、最初に通したリーダーの輪にPEラインを通します。
最初は下から通したので、今度は上から通します。

PEラインとリーダーを湿らせて、ゆっくりと引っ張りながら締め付けていきます。
この際、締め付けて出来るコブが均等となるよう注意しながら行います。
最後に余分をカットして終わりです。
通常のアルバートノットに比べると、PEラインをダブルにしている分ほんの少しコブが太くなりますが、すっぽ抜けも全くありません。
根掛かりしてもそこの結束部分から切れた事はありませんので、強度に関しては全く問題ありませんし、PEラインをシングルで巻き付けた場合と比べても、強度的にはアップしていると思います。
非常に簡単ですので、釣り場で応急的に素早く行うには持って来いの結束方法だと思います。
ただし、結び目の下側にリーダーの端が来る結束方法なので、キャスティングの際にはガイドへ干渉し、飛距離が伸びないかもしれませんのでご注意ください。
まとめ / 信頼できるノットが釣果を左右する
スロージギングの世界では、ノットの完成度がそのまま釣果に直結します。
特に、大きな青物の場合、フッキング直後の強烈な走りや、長時間のファイトに耐えられるノットの強度が必要ですし、非常に大事になります。
「結び方が甘くて魚を逃してしまった。」、そんな悔しい思いをしないためにも、日頃からノットの練習を続けておきましょう。
最初は難しく感じるかもしれませんが、確実なノットを身に付ければ、ジギングの楽しさは何倍にも広がります。
是非自分の手で「信頼できるノットシステムを完成」させてください。



コメント