スロージギングに於いて、最も重要な要素の一つが「フォール」ですし、ジグの落とし方ひとつで釣果は大きく変わります。
ジャーキングでジグを跳ね上げ、魚に存在をアピールするのも大事ですが、魚が最終的に口を使うのは、ジグがヒラヒラと落ちていく、あの「食わせの間」がほとんどだからです。
実際にフォールこそが、ジグが最も弱ったベイトフィッシュを演出する、バイトチャンスの宝庫と言えます。
本記事では、スロージギングで必須のフォールテクニックの基本から、シチュエーションに応じた具体的な使い分け、そしてフ繊細なバイトを逃さないための実践的なノウハウを分かりやすく解説します。
この記事を読めば、フォールに対する認識がガラリと変わり、あなたのスロージギングの釣果は劇的に向上するはずです。
それでは始めましょう！
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フォールはスロージギングの核心
一般的に、青物などを狙うハイピッチジャークでは、ジグを上へ上へと強く動かすことで、逃げ惑うベイトを演出します。
それに対してスロージギングは、ジャークでジグを横に向けたり跳ね上げたりした後、フリーな状態（またはテンションをかけた状態）でジグを落下させます。
この「落ちる」動作が、ダメージを受けて弱った、あるいは捕食されやすい状態のベイトフィッシュを演出するのです。
魚は、生命感溢れるベイトよりも、弱って動きが鈍ったベイトに対して、最も捕食本能を刺激されると言われています。
スロージギングにおけるフォールは、まさにその「弱ったベイト」を最も効果的に演出する、釣果に直結する決定的な瞬間なのです。
このフォール中の動きを理解し、操作することこそが、スロージギングで釣果に差をつける最大の鍵となります。
フォールの種類と基本原則
フォールと一口に言っても、その動作は大きく分けて、「フリーフォール」と「テンションフォール」の２種類あり、それぞれが異なる誘いの効果を持ちます。
これらの違いを理解し、意図的に使い分けることが重要です。
フリーフォールとは
フリーフォールとは、ジャーク後にロッドティップを下げ、ラインを張らずに完全にフリーな状態でジグをフォールさせる方法です。
【ジグアクションの特徴】
ラインの抵抗をほとんど受けないため、ジグ本来の動きを妨げることなく、最もナチュラルな動きを見せることができ、ベイトが弱って沈むような動きを再現できます。
【効 果】
フリーフォールが効くのは、潮が効いていて魚の活性が高い時に多くみられます。
ジグが自然に潮に乗り、ナチュラルに沈んでいくことで魚の警戒心を解きますし、ジグを早くフォールさせたい時にも有効です。
【デメリット】
ラインがフリーなため、フォール中のバイトを感じにくく、ラインの動きに集中する必要があります。
ラインが「止まった」などの違和感を感じたら、即合わせが鉄則です。
また、向かい風の場合、ロッドティップにラインが絡むトラブルが発生しやすくなりますので、ロッドを破損しないよう注意が必要です。
テンションフォールとは
テンションフォールとは、ジャーク後にラインに適度な張り（テンション）を持たせながらジグを落下させる方法です。
【ジグアクションの特徴】
ラインの抵抗が加わることで、ジグの落下スピードが抑制され、繊細で控えめなヒラ打ちやローリングアクションが発生します。
まるで糸に吊るされた状態でゆっくりと揺れながら沈んでいくようなイメージで、フォールスピードを抑えつつ、姿勢を安定させることが出来ます。
【効 果】
潮が緩いときや魚の活性が低いときに有効で、「ジグを見せながらゆっくり落とす」ことで、魚にじっくり見せて食わせの間を作ることが出来ます。
バイトも明確に出やすく、初心者にも扱いやすいのが特徴です。
【デメリット】
フリーフォールに比べてアピール力と落下スピードが劣るため、広範囲を探るのには不向きです。
フォールアクションを決定づけるジグの特性
どのようなフォールアクションになるかは、釣り人がロッドとリールで操作するだけでなく、ジグ自体の形状やバランス設計に大きく左右されます。
バランス特性
【センターバランス】
重心が中央に集中しているジグは、水平姿勢を保ちやすく、「ヒラヒラと舞い落ちる」アクションが特徴です。
スロージギングの基本であり、フォールで最もバイトを誘いやすいタイプであり、フリーフォール、テンションフォールともに安定したアクションを演出します。
【リアバランス】
重心が後方にあるジグは、沈下速度が速く、フリーフォール時に強いスライドやヒラ打ちを見せるジグが多いのが特徴です。
速く底を取りたい時や潮が速い時に有効で、特に青物に有効とされています。
【フロントバランス】
前方に重心があり、テンションフォールで安定した姿勢を保ちながら落とすことが出来ます。
特に、根魚狙いに有効だとされています。
形状特性
【ワイド形状】
水の抵抗を強く受けるため、フォールスピードが遅くなり、より大きなスライド幅と滞空時間を生み出します。
魚にじっくりとジグを見せたい場合や、食わせの間を長く取りたい場合に有効です。
ただし、潮流の影響を受けやすいというデメリットもあります。
【スリム形状】
水の抵抗を受けにくいため、フォールスピードが速く、キレのあるタイトな動きになります。
潮流が速い時に有効ですが、魚の食いが悪い時は、ジグをじっくり見せることが出来ません。
フォールテクニックの深掘り
フリーフォール
フリーフォールは、ジグの自重と形状に任せて、ジグ本来のアクションを出せるフォール方法です。
これを意図的にコントロールすることが、釣果アップの秘訣です。
ボトム（海底）への到達時間
ジグを投入し、ラインが放出されて着底するまでの時間を計測する習慣をつけることをおすすめします。
●水深の把握
カウンターが付いていなくても、大まかな水深を把握するのに役立ちます。
●潮流の変化を察知
前回よりも時間がかかっていれば、潮が緩んだ、または二枚潮になった証拠です。
フォールスピードを調整する判断材料になります。
●フォール中のバイト確認
着底するはずの時間より早くラインの放出が止まった場合、それはフォール中に魚がジグを食い上げたサイン（食い上げバイト）である可能性があります
即座にリールを巻き、アワセを入れましょう。
サミングによるコントロール
フリーフォールといっても、完全にラインをフリーにするのではなく、スプールの回転を親指でコントロールするサミングが不可欠です。
●バックラッシュの防止
スプールが回りすぎるのを防ぎ、ラインがフケて絡まるバックラッシュを防ぎます。
特に着底直前は、ジグの抵抗がなくなり回転が一気に上がるため、注意が必要です。
●フォール中のバイトの察知
親指に伝わるラインのテンションの変化で、小さなバイトを感知しやすくなります。
フォール中に、急にラインの出が悪くなったり、反対に加速したりする違和感は、すべて魚のバイトと考えて構いません。
着底直前のバイトを逃さないために
多くの魚、特に根魚や底物と呼ばれる魚は、着底寸前の瞬間を狙ってバイトしてきます。
着底の瞬間は、底が岩盤であれば「コンッ」、砂地であれば「トンッ」という感じのそっくが伝わりますが、着底直前にラインの出が止まる、あるいはラインが横に走るといった微細な変化を捉えることが重要です。
着底のショックを待つのではなく、着底するであろう水深の数メートル手前から、集中力を最大限に高めておくことが重要です。
テンションフォールの最適解
低活性時や特定のレンジ（棚）を丹念に攻めたい時、テンションフォールは非常に有効な攻め方と言えます。
ラインテンション
テンションフォールで最も難しいのが、「ちょうどいいテンション」を見つけることです。
ラインを張りすぎると、ジグはただの塊のように真下に落ちてしまい、ヒラ打ちアクションが出ませんし、逆に緩すぎるとフリーフォールと変わらず、バイトの感知が難しくなります。
●目安は「潮とジグの抵抗を感じる程度」
ロッドティップがわずかに曲がり、ラインの重みと潮の抵抗を常に感じられるくらいのテンションが理想です。
これにより、ジグは水の抵抗を受けながら、ゆっくりとヒラヒラと落ちていき、違和感のある動きを演出しやすくなります。
●リールの巻き取りとロッド操作
ジャークでジグを跳ね上げた後、ロッドを下げながら半回転～1回転ほどリールを巻き取ることで、意図的にテンションを作り出すことができます。
潮の流れとジグの動き
テンションフォールは、潮の流れに非常に敏感ですので、潮を読み、ジグが意図したアクションを出しているかを確認しながら行う事が重要になります。
●潮が緩い場合
ラインを張りすぎると、ジグが動きを失いがちになるため、ティップをやや下げるか、リールの巻きを緩め、フォール時間を長くする意識を持つことが大事になｒます。
●潮が速い場合（二枚潮含む）
ラインが取られすぎないよう、テンションを強めに保つ必要があります。
ジグが斜めに流されすぎていると感じたら、少し重いジグに変更するか、フォールスピードが早いジグに替えるなどの操作が必要です。
違和感を感知するためのロッドワークと感覚
テンションフォール中のバイトは、「コンッ」という明確なアタリよりも、「フワッ」といった微細な違和感で現れる事が多くなります。
●モタレ
ジグが落ちている最中に、急に重みが増したように感じる（魚がジグを咥えて浮き上がった、またはジグに寄り添った）ばあいがあり、モタレなどと表現されます。
●抜け
張っていたラインのテンションが、一瞬だけ抜けたように感じる（魚がジグを吸い込んだ）事を抜けと表現したりします。
これらの変化を捉えるためには、ロッドティップを注視すると共に、リールのハンドルを握る指先や手のひらで、ラインを通して伝わる微細な振動や抵抗の変化を感じ取ることが重要です。
コンビネーションフォール
フリーフォールとテンションフォールは、単独で使うだけでなく、状況に応じて組み合わせて使うことで、より効果を発揮します。
【コンビネーションフォールの凡例】
●ジャークでジグを横向きにする。
●最初の1～2秒はフリーフォール
派手なスライドとスピードで魚の注意を引く。
●テンションフォールへ移行
フリーフォールの激しい動きで寄せてきた魚に対し、テンションフォールの緩やかで食いやすい動きに切り替えてバイトを誘発させる。
この組み合わせは、「魚にジグを意識させ、静かに食わせる」という、スロージギングの基本を体現したテクニックと言えますので、是非試してみてみて下さい。
釣果アップのために意識する事
スロージギングにおけるフォールテクニックは、一朝一夕で身につくものではありません。
しかし、以下のポイントを常に意識しながら釣りをする事で、確実に釣果は上向くことは間違いありません。
【フォールを食わせの間を意識しているか？】
フォールを、単なる巻き上げ前の休憩としてではなく、バイトを誘うための積極的な動作として捉える事が重要です。
【状況に応じたフォールを使い分けているか？】
魚の活性や潮の状況に応じて、フリーフォールとテンションフォールを意図的に選択し、時には組み合わせて使用する事が重要です。
【違和感を見逃していないか？】
ラインが止まったり横に走ったり、またモタレ、抜けといった微細な変化を、ティップと指先で常に感じ取る集中力を常に保ちましょう。
スロージギングは、ジグが落ちる一瞬一瞬にドラマがありますので、ぜひ本記事で紹介したテクニックを実践し、フリーフォールとテンションフォールをマスターして、爆釣を掴み取ってください！
まとめ：フォールを制する者、スロージギングを制す
「落とすだけ」から「魅せて落とす」釣りへ
スロージギングの真髄は、ただジグを落とすだけではなく、ジグを「操って落とす」ことにあります。
フリーフォールとテンションフォールを理解し、状況に合わせて使い分けることで、狙って魚を食わせることが可能になります。
釣果を伸ばすカギは、フォール中の集中力とジグ選択で、海の状況あターゲットに応じて、最適なフォールを組み立てていくことができれば、スロージギングの世界は一段と奥深く、面白いものになります。
ジグを「落とす」から「魅せて落とす」へ、意識を変化させることが、釣果と経験値を飛躍的に高める第一歩です。
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