
今回は、スロージギングに使用するリールに求められる、最も大事なことについてご紹介します。
リールはある意味ロッドよりも重要なタックルで、特に何が釣れるか分からないスロージギングに於いて、不意の大物が掛かった際にはリールの性能が非常に大事になります。
そんな重要なタックルであるリールに必要な性能とは何なのか、ご紹介して行きます。
なお、ロッドとリールに関しては全てベイトタックルを想定した内容となっています。
それでは始めます。

最も大事なこと
極端な言い方をすれば、ロッドはジグを操り魚を掛ける道具で、掛けた魚とファイトして引き寄せるのはリールの仕事、と言っても過言ではありません。
特に大物とのファイトは、ロッドに頼りすぎると破損する危険性が有りますので、それを防ぐためにはリールの性能が非常に大事になります。

その1:頑丈であること
リールに求められる最も大事な性能は頑丈であるという事で、堅牢性とも言いますが、これは基本中の基本だと考えます。
普通サイズの魚とのファイトでリールが壊れる事はまず無いと思いますし、それで壊れるようなリールであれば論外ですし、現在はそこまで粗悪な製品は無いと思います。
問題は、大きな魚が掛かった時に非常に大事になってくるのが堅牢性ということになりますが、リールの堅牢性には主に2つの事があげられます。

剛 性
リール本体とハンドルを含めた剛性が非常に大事で、剛性が低いリールではボディー等に歪が発生し、その影響が内部のギアなどにも及ぶため、結果的に変な力が加わり故障の原因にもなるわけです。
特に大きな魚とのやり取りの際は、ラインを巻き上げるために非常に大きな力がリールのハンドルと本体に加わりますが、それに負けない剛性が必要になるということです。
言い方を変えると、剛性が高いリールはハンドルの巻上げの際の力がスムーズにギアに伝わり、結果的に巻上げが楽になると言えます。

ギアが滑らかである
ボディーの剛性が高くても、力を伝えるギアが弱ければ壊れやすくなります。
リールのハンドルを回した時の滑らかな回転フィールは非常に大事な要素であり、滑らかであればあるほどギアの噛み合わせがしっかりしていて丈夫であると言えます。
高性能なリールほど回転フィールがシルキーで滑らかなのはこのためです。
ショップに行けば実際にリールのハンドルを回させてもらえるはずですので、是非高性能なリールと安価なリールの回転フィールを比べてみる事をおすすめします。
しかし、これもボディーが頑丈である事が基本条件ですが。

余 談
余談になりますが、数年前の初秋に友人たちと沖へ釣りをしに行った時の話です。
ポイントに到着し、釣りを始めて間もなく友人にブリと思われる魚がヒットし、楽しいファイトの末にあと数メーターで取り込みという所でリールのギアが壊れてしまったのです。
ギアが壊れたリールは、ラインを巻上げる事も出来ず、またドラグが引き出される事も無く固まったような状態となり、最後はラインブレイクでバラしとなってしまいました。
そのリールは海外製で、あまり知られてもいないし見た事も無いリールでしたが、彼が購入する際は「大きい魚を問題なく釣り上げた。」という口コミを見て決めたという事でした。
その当時の価格は3万円ほどで、必ずしも安いとは言えないものでしたが、ファイト中のドラグが不安定でスムーズにラインが出て行かなかったのが見ていても分かるくらいでした。
その後、異音がしたと同時にリールがフリーズ、そんな感じでした。
「みんなと一緒のリールは嫌で個性を出したくて購入した。」という事でしたが、「あんなに簡単に壊れちゃうとは・・・。」とショックを隠し切れないでいました。
そして彼が新たに買ったリールが、DAIWAのソルティガ IC-300H-SJというカウンター付きのリールで、次の年の春に魚探の反応に合わせてジグを投入してサクラマスを釣り上げていました。
彼は、「最初からこっちにしておけばよかった。」と後悔していました。
安物買いとは言えませんが、結果的に銭失いになったというお話しでした。
このように、リールの堅牢性は非常に大事な基本的性能ですので、紹介した余談のようにならないよう注意して下さい。

その2:ドラグ性能
ドラグ性能とは、掛かった魚が逃げようとして大きな力がロッドとラインに掛かった場合、ラインがスムーズに出て行く性能の事です。
大きな魚が掛かった場合、スムーズにラインが引き出されないとラインブレイクしたり、最悪はロッドの破損につながったりしますので、非常に重要な性能であると言えます。
日本の信頼のおけるメーカーの、ある程度の価格のリールであればその辺は問題無いと思いますが、「取りあえず安いリールでも何とかなるさ。」と思っていると痛い目にあいます。
仮にそれがなかなか出会えないような超大物だった場合、一生後悔する事になるかもしれません。

経験談
30年ほど前にShimanoのバスロッドと安いスピニングリールを使い、水深40m位の場所でDaiwaのファントムⅡという今は販売されていないジグを使ってワラサやイナダを釣って楽しんでいたのですが、突然大きなブリが釣れた事がありました。
その時のリールはドラグ調整の幅が狭く、ドラグのつまみを1クリック回しただけで「ジーーッ!」とラインが出っぱなしになり、1クリック戻すと止まってしまいラインやロッドに負荷が掛かるようなリールでした。
それでも何とか90cmほどのブリを取り込むことが出来たのですが、2匹目が掛かった時はファイト中にあっけなくラインブレイク。
当時はナイロンラインを使っていたのもありますが、ドラグ調整が効かなかったので、ジグとの結び目が弱くなっていたのもありますし、ラインそのものも伸びきっていたのだと思います。
ドラグ性能がしっかりしたリールであれば、もう少し楽に取り込むことが出来たと思いますし、2匹目も釣り上げることが出来たかもしれません。
そのリールはスプールの軸が歪み、回転にぶれが生じるようになり、結局最後はスクラップです。
話しはそれますが、バスロッドの粘り強さには驚かされましたし、今思い出してもその強さには驚かされます。
初心者の方はまだ分からないと思いますが、10kgを優に超える青物が掛かった場合、そのパワーとスピードは相当なものですので、たかが魚と思わずに、十分お気を付け下さい。

頑丈で高性能なリール
カウンター無しのおすすめ
Shimano:オシアコンクエスト
先ずは、シマノのフラッグシップモデルと言ってもいいオシアコンクエストをご紹介します。
もはや説明は要らないのではないかと言うくらい有名なリールで、ゴールドに輝くリールは必ず釣り船で見掛けるくらいです。
堅牢性、ギアなどの精密性、滑らかで力強い巻上げなど、どれをとっても素晴らしい性能のリールです。
メーカーの紹介文
滑・強・操の進化は続く。
精密なマイクロモジュールギアと堅牢なHAGANEボディ、高耐久の内部パーツが一体となって生み出される滑らかで力強い巻き上げ。
その性能をさらなる高みへと引き上げるべく、インフィニティドライブを搭載して巻きの軽さ、力強さとともに感度も向上。
Xプロテクトを搭載することで防水性能・耐久性も高めました。
新形状NEWフォールレバーは仕掛けの沈下速度をすばやく正確に制御。
ワンウェイローラーベアリングの搭載で巻き取り方向では回転が重くならない画期的なオリジナル機構を搭載。
200サイズはボディを前作よりコンパクト化し、レベルワインド連動モデルとしては初となるフリップオープン搭載でスプールへより簡単にアクセスすることが可能になりました。
おすすめのモデルとしては、300XGもしくは左巻きの301XGになり、ハンドル1回転の際だ巻上げ長が101cmという大型両軸リール並みで、スロージギングには持って来いのリールです。
ハンドルノブ(グリップ)もパワータイプですので、大きな魚とのファイトの際も力を入れやすくなっているのもおすすめなポイントです。

Daiwa:ソルティガ300
次は、Daiwaの2025年シーズンの新製品であるソルティガ300をご紹介します。
このリールは、オシアコンクエストの300番とラインキャパシティが同じになり、堅牢性、ギアなどの精密性、滑らかで力強い巻上げなど、どれをとっても甲乙つけがたい素晴らしい性リールです。
特徴としては、レベルワインドが付いているリールでありながらスプールロック機構が付いている点で、根掛かりの際などにギアやベアリングを傷める事無くラインを切ることが出来ます。
このリールもハンドル1回転の際だ巻上げ長が100cmという大型両軸リール並みであり、スロージギングは持って来いのリールと言えます。
メーカーの紹介文
近海ジギングベイトリールがHYPERDRIVE DIGIGEARを強化して生まれ変わる。
そして、レベルワインド搭載機種においてはダイワ初となるスプールロック機構を搭載。激流の明石エリアや瀬戸内エリアなど近海の全てのシーンに対応する。
SALTIGA 300のHYPERDRIVE DIGIGEARは歯幅UP仕様。
低負荷から高負荷まで滑らかで、力強い回転性能を発揮する。
また、HYPER DOUBLE SUPPORT、HYPER TOUGH CLUTCH、HYPER ARMED HOUSINGを搭載し万全の仕様を目指した。
フレームにはサムホールディングフレームを採用し、コンパクト化のメリットを覆す優れたパーミング性能を発揮する。
さらにハンドル側サイドプレートにはアノードプロテクションを搭載した。
過酷な環境下を想定して作り込んだSALTIGA 300は、近海ジギングを攻略し尽くす新たな武器となるだろう。
おすすめのモデルと言っても、このリールは300番しかないので、後は右巻きか左巻きかを選択するだけになります。

カウンター付きのおすすめ
Shimano:オシアコンクエストCT
シマノのオシアコンクエストCTをご紹介します。
このリールは、同社のオシアコンクエストにカウンターが付いたもので、以前はボディーカラーがゴールドでしたが、モデルチェンジを機にシルバーに変更になりましたが、カッコよさは変わっていません。
これにはハイギアのXGの設定はありませんが、スロージギングで使用するとなるとハンドル1回転が84cmのHGを選択する事になります。
カウンター付きのメリットは、何と言っても魚探に反応が出た際に素早くその棚にジグを送り込める事で、経験上それにより釣れる確率はかなり上がると思います。
テンションを掛けても巻きが重くならない改良されたフォールレバーが搭載されていますので、魚が掛かってもいちいちフォールレバーを戻す必要も無くなりました。
メーカーの紹介文
Tactical Armor
高精度金属ボディ&マイクロモジュールギアの剛健かつ滑らかな駆動系統にデジタルカウンターとフォールレバーを搭載し、高度な戦略とその再現性を実現するオシアコンクエストCT。
NEWモデルはテンションを掛けても巻きが重くならない新型フォールレバーとインフィニティドライブを搭載し、巻きの軽さと感度がいっそう向上。
さらに視野角が拡大したNEWラインカウンターには巻き上げ距離アラームを搭載し、より緻密な戦略をサポートする。
もちろん高耐久クラッチ&高耐食ステンレスパーツがもたらす耐久性や、X-PROTECTによる防水性能など、オシアコンクエストが築き上げてきた鉄壁のタフネスは完全に踏襲。
パーミングのしやすさ、カウンターの見やすさなど、細部にまで改良を加えた渾身のスペックでオフショアアングラーの期待に応える。
また、200番サイズにも300番サイズに先行投入されていたMGモデルが追加され、鯛ラバゲームにより広く対応するラインナップとなっている。
おすすめのモデルは、300HGか左巻きの301HGになります。

Daiwa:ソルティガIC
次は、Yobo爺も使っているDaiwaのソルティガICをご紹介します。
このリールは、オシアコンクエストCTとラインキャパシティも同じで、大きさや重さに関してもほぼ同じような感じになっています。
特徴としては、レベルワインダーとカウンタを搭載しているリールでありながら、スロージギングモデルの300H-SJはハンドル1回転の巻き上げ長さが98cmもあるということです。
カウンター搭載機種では最長で、SJとあるようにスロージギングに特化した仕様のリールで、ブルーのボディにゴールドのハンドルが美しいリールです。
おすすめのモデルとしては、パワーハンドルも搭載してある300H-SJもしくは左巻きの300HL-SJになります。

大型両軸リール
大型両軸リールとは、ここではレベルワインダーやガイドリングを搭載していない大型のリールの事を言います。
レベルワインダーを搭載していませんので、当然ラインはスプールに平行に巻かれることは無く、ラインが片寄ってスプールに巻かれないよう全て自分で調整する必要があります。
魚とのファイトの際は、魚とのやり取りはもちろん、ラインが片寄り過ぎないよう気を配る必要があります。
以上のような理由により、釣りそのものに慣れていない初心者の方にはおすすめしませんが、取りあえずご紹介だけしておきます。
Shimano:オシアジガーFカスタム
先ずは、シマノのオシアジガーFカスタムをご紹介します。
ジギングリールと言えばオシアジガーと言われるくらい有名なリールに、シマノ独自のフォールレバーを搭載したリールです。
Yobo爺も使っていますが、非常に頑丈で巻上げも強く、大きなブリなどが釣れているような状況ではこのオシアジガーFカスタムかオシアジガーを使っています。
2台とも使っていて非常に安定感があるリールで、何の不満も無い素晴らしいリールです。
オシアジガーFカスタムのおすすめのモデルとしては、1500HGもしくは左巻きの1501HGになり、オシアジガーの場合は1500XGか1501XGになります。
なお、HGはハンドル1回転の巻上長さが97cm、XGはハンドル1回転の巻上長さが112cmとなっています。
Daiwa:ソルティガ15
Daiwaを代表する近海用両軸リールの代表格で、オシアジガーと双璧をなす素晴らしいリールです。
おすすめは15H-SJもしくは左ハンドルの15HL-SJで、ラインキャパシティー的にはオシアジガーの1500XGより若干多くなっています。
また、ハンドル1回転の巻上長さが115cmと、今回ご紹介する中では最長となっています。
ソルティガIC同様、ブルーのボディが美しいリールです。
おわりに
今回は、スロージギングに使用するリールにとって、最も大事なことについてのお話しでしたが、いかがでしたか?
リールにとって最も大事なのは、とにかく壊れない事で、大物との長時間のファイトでも、オフショアでの厳しい環境下でもビクともしない頑丈さが必要です。
頑丈でドラグ性能の優れたリールとなると、どうしても高価になってしまいますが、何年も安心して使い続けられることを考えれば、ある意味コスパに優れていると言えると思います。
オフショアで釣りをするということは、常に大物が掛かる可能性が誰にでもあるということですので、せっかくのチャンスを取り逃がさないよう準備してはいかがですか。
次回のこれから始めるスロージギングシリーズは、リールの糸巻き量などについてご紹介したいと思います。
それではまた。

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