
スロージギングは、その独特の誘い方で大型魚から根魚までを魅了する奥深い釣りですが、ただジグをシャクっているだけでは好釣果は得られません。
成功の鍵は、海中の環境と魚の心理を理解することにあり、特に重要なのが「魚の活性」「潮流(カレント)」「潮汐(タイド)」の三要素の関係性です。
本記事では、この三要素がどのように相互作用し、魚の捕食スイッチを入れるのかを科学的・実践的に解き明かします。
釣果を左右する「時合い」を自力で予測し、再現性の高い釣りを実現するための具体的な戦略とテクニックを、私の経験を交えて徹底解説していきます。
皆さんの釣果が確実にアップする?かもしれない「潮読み術」をお届けします。
なお、Yobo爺は魚になった事がありませんので、魚の気持ちなどは全く分からないため、あくまでも人間側の考えや、「こうではないだろうか」という仮説に基づいている部分もありますので、あしからず。
それでは始めます。
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魚の「活性」とは何なのか?
釣りにおける「活性」という言葉は、魚がどれだけ積極的にエサを追うか、捕食行動を起こしやすい状態かを表すものです。
活性が高いと、少しの刺激でも反応し、ジグを積極的に追ってくるようになりますが、活性が低いとベイトが目の前を素通りしても動かず、ジグの存在にも気づいていないかのように無反応なこともあります。
活性は、単純に「魚のやる気」ではなく、環境要因と生理的要因が複雑に絡み合っていると言われています。
それには、水温、溶存酸素量、潮流、ベイトの動き、水中の透明度など、多くが関与しますが、特にスロージギングで大きな影響を持つのが「潮流」と「潮汐」です。
潮が動くと水中の酸素量が増えてベイトも回遊し始め、捕食しやすい状況が整うため、青物や根魚の活性も高まりやすくなります。
逆に、潮が止まる「潮止まり」は酸素供給が低下し、ベイトの活性も下がるため、魚全体が鈍くなる傾向があるように思います。
これらを理解することで、その日の状況に合わせて「どの時間帯に勝負するか」「ジグ操作をどう変えるか」を計画的に考えることが可能になります。

魚の活性を左右する「潮」とは何なのか?
スロージギングのみならず、釣りでは「潮を読む」という言葉をよく耳にします。
潮は大きく分けて「潮汐(満潮・干潮)」と「潮流(水の動き)」の二つの要素があり、これらが複合的に作用することで魚の活性は変化すると言われています。
まず、「潮汐」とは月と太陽の引力によって起こる海面の上下動のことで、満潮と干潮が繰り返され、基本的に1日に4回の潮位変化が起こります。
潮汐は魚にとって生活リズムそのもので、捕食のスイッチが入るタイミングと密接に関連します。
一方、「潮流」とは潮位変化に伴って生じる「海水の移動」です。
水が動けば海底のプランクトンが舞い、ベイトが動き、それを追ってフィッシュイーターと呼ばれる魚たちが動きます。
つまり潮流は「魚が動く理由」を作る最も直接的な要因と言えます。
この「潮汐 × 潮流」が噛み合う瞬間こそ、釣り人が「時合い」と呼ぶ、最も美味しい時間帯と言う事になります。
なぜ潮の満ち引きが重要なのか?
先程も触れましたが、「潮汐」すなわち潮の満ち引きは、主に月と太陽の引力によって引き起こされる現象で、この潮汐が、釣りにおける最も基本的な環境要因となります。
【潮汐の変化による魚への影響】
●海水の移動と酸素供給
潮が満ちたり引いたりする際に大量の海水が移動し、海中に新鮮な酸素が供給されますが、その酸素濃度が高まると、魚は活発に活動するようになると言われています。
●ベイトフィッシュの動き
潮の流れが発生することで、プランクトンや小魚(ベイト)が特定の場所に集積したり、流されたりします。
このベイトの動きがフィッシュイーターを刺激します。
●水深の変化とプレッシャー
潮位が変化することで、特に浅場や根周りでは水深が大きく変わります。
満潮時には、普段は入れない場所にも魚が進出しやすくなり、干潮時には水深が減ることで魚の警戒心が高まることがあります。
この「潮汐」の変化を捉える基本が、「潮回り(潮種)」の理解です。
潮汐の変化が魚の活性を上げるタイミング
潮汐が変わるとき、つまり潮が動き始めるタイミングこそ、魚の活性が最も上がりやすい瞬間と言われています。
特にスロージギングの場合は、潮の変化が「ジグの動き」にも影響するため、潮読みは必須の技術になります。
【潮汐の変化】
●上げ潮(満ち潮)
海水が沖から沿岸へと動き、ベイトが岸側へ寄りやすくなるため、捕食行動のために青物が活発に回遊する傾向が見られます。
●下げ潮(引き潮)
沿岸のベイトが沖に押し出されやすく、それを待ち構えるように海底の地形に沿って、底物・回遊魚が動きやすくなると言われています。
●満潮直前・干潮直前
潮位が止まりかけ、動きが最も弱くなるため魚の活性も落ちる傾向があるように思います。
●満潮後の下げ潮、干潮後の上げ潮
潮が動き始めるタイミングでベイトが一斉に動くため、魚の捕食スイッチが入りやすい時間帯とも言われています。
●大潮・中潮・小潮
大潮:動く時間が長く、魚は広範囲で回遊。青物に強いとされている。
中潮:最も安定し、活性が整いやすいとされている。
小潮:潮が緩く、根魚狙いには向いているとされている。
長潮・若潮:潮がほぼ動かず、渋いケースが多いとされている。

「潮止まり」は本当に釣れない時間なのか?
「潮止まり」とは、満潮または干潮の前後で、潮の動きが一時的に停止する時間帯を指します。
多くの釣り人が潮止まりを敬遠しがちですが、「満潮後の潮が下げ始める時間帯」や、「干潮後の潮があげ始める時間帯」は、潮が動き出すタイミングでもあるため、「潮止まりは釣れない」というのは、必ずしも正解ではないと考えます。
実際に「潮止まり」でも、爆釣した事もありますし、それも1回や2回ではありませんので、魚の活性は、必ずしも人間の考えとは一致しないという事です。
【潮止まりのメリット】
●潮が緩むことによる捕食のしやすさ
激しい流れの中では捕食しにくかった大型魚が、潮が緩むことでベイトを追い込みやすくなり、捕食スイッチが入ることがあります。
●根周りの集中攻撃
潮が緩むことで、魚が根から離れずに集まりやすくなり、このタイミングでピンポイントにジグを打ち込むと、思わぬ大物がヒットすることがあります。
潮流の強弱がスロージギングに与える影響
潮流はスロージギングの釣果に直接影響します。
ただ単にシャクるだけでは魚にアピール出来ないため、潮流に合わせてその日の正解を探る必要があります。
【潮流による影響】
●潮流が強いときの特徴
潮流が強いと、酸素量が増え、プランクトンが舞い、ベイトが動きます。
この「活性の連鎖」が大型青物の捕食スイッチを強く刺激します。
魚は潮上へ向けて泳ぐ性質があり、潮流が強いほど一定の層に「浮く」傾向があります。
●潮が緩む時間帯
潮が緩い時は、ジグが動きにくいため釣れづらい時間帯とも言われています。
その反面、潮流が弱まると、魚は無駄な体力消費を避けるため食いやすいタイミングを見つけて捕食する場合があるとも言われています。
●二枚潮・三枚潮の厄介さ
表層と中層の流れが違う二枚潮は、ジグのフォール姿勢が安定せず、狙いの棚に届かないことが多い状況です。
以上、この「潮流の読み深さ」が上級者と初心者の大きな差となります。
二枚潮への対応
非常に厄介な潮流として「二枚潮」というものがあり、海面付近の層(上潮)と海底付近の層(底潮)で、潮の速さや方向が異なる現象の事を言います。
【二枚潮の対策】
●上潮が速い場合
ラインが大きく斜めになり、ジグが流されます。
ジグを重くしたり、フォールの早いジグに替えたりして無理やり底を取るか、あえてラインの角度を利用して広範囲を探るなどのテクニックも有効です。
●底潮が速い場合
ラインは垂直に近いのに、ジグが流されるため、底が取りにくい状態です。
この場合は、ジグをワンランク重くする、あるいは、抵抗の少ない形状(細身)のジグを選ぶと底潮の影響を受けにくくなります。
複雑な潮流下では、魚は流れの境目(潮目)や、根の陰など、流れが緩む場所に定位していることが多いと言われています。
そのため、そこをピンポイントで狙う事が重要になると言われています。

魚の活性の高まりやすい条件を科学する
魚の活性は、単に潮の強さだけでなく、複数の環境要因が複合的に作用して決まります。
【補食スイッチが入る瞬間】
魚には、フィーディングタイムと言う補食スイッチが入る時間帯が有り、最も積極的にエサを捕食する時間帯であり、これが起こるメカニズムは、以下の要因の組み合わせと言われています。
●酸素濃度の上昇
強い潮流や潮の入れ替わりによって、海水中の溶存酸素(DO)濃度が上がり、魚が代謝を上げるため活発に動けるようになると言われています。
●光量の変化(マヅメ)
日の出や日の入りの時間帯(朝マヅメ、夕マズメ)は、光量が急激に変化します。
この薄明るい時間帯は、ベイトフィッシュの警戒心が薄れ、フィッシュイーターにとっては捕食しやすい環境となるため、多くの魚種でフィーディングタイムが観察されます。
●水温の変化
急激な水温変化は魚の活性を下げますが、特定の水温(ターゲットフィッシュの最適水温)に安定していると高活性を維持します。
【ベイトフィッシュの動きと潮の関係】
フィッシュイーターの活性は、彼らの主要なエサであるベイトフィッシュの状況に強く依存します。
●潮目への集中
潮流がぶつかり合う「潮目」には、プランクトンが集まりやすく、それを追って小魚が集まります。
さらに、その小魚を狙って捕食者が集まるという食物連鎖のピラミッドが形成されるため、潮目をいかに正確に狙えるかが、釣果を大きく左右します。
●地形によるベイトの寄せ
根のトップやかけ上がりなどの地形変化に潮が当たることで、そこにベイトが寄せ集められます。
フィッシュイーターは、こうした地形的なストラクチャーの陰で待ち伏せし、流れてくるベイトを捕食すると言われています。
ベストな「時合い」を見極める
潮汐、潮流、時間帯を複合的に捉え、最高の時合いを予測し、それを逃さないための具体的な方法を解説します。

スロージギングにおける潮の「良いタイミング」とは
スロージギングのみならず、海釣りでは活性が上がる「狙い目の潮」が存在し、特に以下のタイミングは釣果が伸びやすい時間帯と言われています。
以上が狙い目の潮になります。

潮と活性が噛み合わない時の対処法
週末アングラーのサラリーマンなどにとっては、潮が良い時に合わせて釣りに行くというのは、実際にはなかなか出来ませんので、潮の条件がかみ合わない時の対処法も重要になります。
【潮が動かない日】
● フォール主体でジグを見せる
●波動の強いジグを使う
●ロングジャーク・ロングフォールの導入
【潮が速すぎる日】
●ドテラ流しでジグを漂わせる
●重いジグやフォールが早いジグで底取りを安定させる
【魚が浮かない日】
●潮が悪い日は魚が浮かず、ベッタリ底に張りついていると言われていますので、そのよう時はフォールの遅いジグを使うなどして、ジグをゆっくり見せることが特に有効です。
潮と活性の関係を理解する
潮を読み、潮流の変化を察知し、魚の動きを予測することで、釣果が劇的に安定します。
【釣果を出すための結論】
●時合いの予測と準備
潮見表、海図、マヅメ時を重ね合わせ、ベストな時合いを事前に予測し、その前後の時間帯を逃さないよう集中して臨むこと。
●潮流への適応
現場でラインの角度をチェックし、潮流の強さに合わせてジグの重さ、形状、そしてアクションのリズムを柔軟に変更すること。
●緩流・激流それぞれの攻略法
潮が緩い時は「フォールの間」を意識し、潮が速い時は「迅速な底取り」と力強いアクションで攻めること。
●潮が動けば魚も動く
●潮の変化はジグの動きを決める
同じジグでも潮の有無で動きは全く別物になります。
●潮を読めると答えが早みつかる
潮汐・潮流の仕組みを理解すると、様々な状況に対する答えが早く見つかる事がありますし、攻め方の引き出しが多くなります。

潮読みの習慣
最後に、潮を読む力を身につけるための習慣を紹介します。
【潮読みルーティーン】
◆ 釣行前に必ず潮汐表をチェック
◆ 大潮・中潮・小潮で「釣れ方の違い」を記録
◆ 朝まずめ・夕まずめの潮の動きを比較
◆ 当日の風向きと潮向きをセットで観察
◆ 釣れた時間だけでなく「釣れなかった時間」も記録
実釣と記録を重ねるほど、自分だけの「潮のデータベース」が育ち、その日の状況を高精度で予測できるようになります。
まとめ:魚の活性と潮の関係
潮を味方につけることは、スロージギングの奥深い魅力を知ることでもあります。
「なんとなく釣れた」から「なぜ釣れたか」を理解し、再現性の高い釣りへと進化させるために、この記事で学んだ知識をぜひ次の釣行で実践してみてください。
週末アングラーのサラリーマンの方々は、潮が良い日を選んで釣行するのは難しいですが、この記事を参考にして、「潮の善し悪し」に関係なく、釣果を安定したものにして下されば幸いです。
魚の活性と潮の流れを読み解く力が、あなたの釣果を安定したものにします。




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